昭和23年、父・辻井東太郎が農業のかたわら蜜蜂の飼育を始めたのが、辻井養蜂場の原点です。当時はまだ養蜂が珍しい時代。それでも父は、蜜蜂の持つ不思議な力と自然の豊かさに魅せられ、本格的な移動養蜂の道へと踏み出しました。その情熱は後に農林大臣賞・兵庫県知事賞という形で認められることになります。
私は幼い頃から、父が蜜蜂を扱う姿を見て育ちました。無数の蜜蜂に囲まれながらも穏やかに巣箱と向き合う父の姿は、子どもの目にはどこか神秘的に映りました。いつしか恐怖心より愛着の方が強くなり、毎朝巣箱の前に立って蜜蜂の様子を観察するのが何よりの楽しみになっていました。「将来はこの仕事をしよう」??気づいたときにはそう心に決めていました。
初代から二代目へ、二代目から三代目へ。三世代にわたって受け継いできたのは、養蜂の技術だけではありません。蜜蜂を敬い、自然と共に生きるという姿勢そのものです。蜜蜂は正直です。自然が豊かであればあるほど、良い蜜を集めてくれます。だから私たちは、蜜蜂が喜ぶ自然環境を守ることが、おいしいはちみつを作ることと同じだと考えています。
自然環境が急速に変化する今、次世代に豊かな自然を引き継いでいくことが、養蜂家としての使命だと感じています。兵庫の山里と北海道の大地を行き来しながら、今日も蜜蜂たちが集めてくれた蜜を、無添加のまま、そのままお届けしています。
自然が作った本物の味を、どうか食卓でお楽しみください。辻井養蜂場を末永くご愛顧いただけますよう、心よりお願い申し上げます。